Ver. ‘20.9.11.
ペルチェ効果に関する現象と性能指数について。
熱力学的な内容に限る。量子力学的な物性理論に関する話題は含まない。※1
- ペルチェ効果とゼーベック効果の基本的な関係
- 異種材料の接合部で吸熱・発熱が起こること
- ペルチェ素子における熱の流れと性能指数 \(Z\) の意味
- 電気と熱の抵抗・電導度のアナロジー
1. ペルチェ効果とゼーベック効果
電流に沿って熱流が発生する(図1)。
熱流 \(J_T\)、電流 \(I\) として
$$
J_T = \Pi I \tag{1}
$$
\(\Pi\) はペルチェ係数。
温度差によって電位差が発生する(図2)。
温度差 \(\Delta T\)、電位差 \(\Delta V\) として
$$
\Delta V = – \alpha \Delta T \tag{2}
$$
\(\alpha\) はゼーベック係数。あるいは位置で微分(\(E = – \nabla V\))して、
$$
E = \alpha \nabla T \tag{3}
$$
相反関係より、
$$
\Pi = \alpha T \tag{4}
$$


2. 異種材料の接合
直列につないだ2種の物質に電流を流すと、接合部では吸熱あるいは発熱反応が起こる。図3。

3. ペルチェ素子
材料の両端に温度勾配を付け、さらに導線でつないで電圧をかけると材料が熱を運ぶ。
導線の抵抗、ペルチェ効果を無視すると、熱の流れは次のようになる。
\(Z\) が大きいほど \(J^{MAX}\) は大きくなる。
材料の冷却性能を性能指数 \(Z\) で示す。
低温側吸熱量(>0)
$$
J_C = \alpha T_C I – \frac{1}{2} R I^2 – K \Delta T \tag{5}
$$
高温側放熱量(>0)
$$
J_H = \alpha T_H I + \frac{1}{2} R I^2 – K \Delta T \tag{6}
$$
仕事量
$$
W = J_H – J_C = (\alpha \Delta T + IR)I \tag{7}
$$
最大吸熱時の吸熱量
$$
J_C^{MAX} = K \left( \frac{1}{2} Z T_C^2 – \Delta T \right) \tag{8}
$$
ここで、\(Z\) は、
$$
Z = \frac{\alpha^2}{RK}
= \frac{\alpha^2 \Sigma}{K}
= \frac{\alpha^2 \sigma}{\kappa}
= z \tag{9}
$$
性能指数の導出。式(5)が最大になる電流値 \(I_0\) は、
\(\frac{d}{dI} J_C = 0\) より求められる。
この時の吸熱量 \(J_{MAX}\) を求めると、
$$
\frac{d}{dI} J^{MAX} = \alpha T_C – RI = 0 \tag{10}
$$
を満たす \(I\) より、
$$
I_0 = \frac{\alpha T_C}{R} \tag{11}
$$
$$
J_C^{MAX}
= J_C(I=I_0)
= K \left\{ \frac{(\alpha T_C)^2}{2RK} – \Delta T \right\}
= K \left\{ \frac{1}{2} Z T_C^2 – \Delta T \right\} \tag{12}
$$
ここで \(\frac{d}{dI}\alpha=0\)、\(\frac{d}{dI}K=0\)、\(\frac{d}{dI}R=0\) を仮定した。
実使用時には、P型とN型をπ型に組んで(図5)、冷却側と放熱側のそれぞれを面で構成する。
また、一般にP型とN型の \(I_0\) は異なるので、最大の性能は引き出されない。


4. 補足:電気と熱の抵抗、電導度のアナロジー
電気:
$$
\Delta V = RI,\quad
R = \rho \frac{l}{S},\quad
\Sigma = \frac{1}{R} = \sigma \frac{S}{l},\quad
\sigma = \frac{1}{\rho} \tag{13}
$$
熱:
$$
\Delta T = R_T J,\quad
R_T = \rho_T \frac{l}{S},\quad
K = \frac{1}{R_T} = \kappa \frac{S}{l},\quad
\kappa = \frac{1}{\rho_T} \tag{14}
$$
参考文献
- 戸田盛和『物理学30講シリーズ 第5講 分子運動30講』(朝倉書店)P177
- 米沢富美子『ブラウン運動』物理学One Pointシリーズ 27(共立出版)
-
参考文献は私が知る文献の中で、その項目の説明が勧められるものである。
文献が多くあるが特筆すべきものを知らない場合は、特に文献を挙げない。
↩
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