Ver. ’20.10.19.
- 確率密度関数 \(f(t)\)、信頼度関数 \(R(t)\)、不信頼度関数 \(F(t)\) の定義
- 瞬間故障率 \(\lambda(t)\) の意味と \(f(t)/R(t)\) との関係
- 累積ハザード関数 \(H(t)\) と信頼度関数・不信頼度関数の関係
- ワイブル分布の形状パラメータ、尺度パラメータ、位置パラメータの意味
- ワイブル確率紙で何を求められるか
1. 確率分布関数(probability density function, PDF)\(f(t)\)、信頼度関数 \(R(t)\)、不信頼度関数 \(F(t)\)
時間 \(\Delta t\) の間に壊れる数を \(g(t)\Delta t\) とする(離散時間なら、ある期間内で壊れる数)。すると、時刻 \(t=0\sim\infty\) の間に壊れる数は、もともとあった数(ここでは \(N\) とする)となる。確率密度関数 \(f(t)\) を以下で定義する。※2
\(f(t)\) を時刻 \(t=0\sim\infty\) の間で積分すると 1 になるので確率の性質を満たしている。
$$
N=\int_0^\infty g(x)\,dx \tag{1}
$$
$$
f(t)\,dt:=\frac{g(t)\,dt}{N} \tag{2}
$$
$$
\int_0^\infty f(x)\,dx=1 \tag{3}
$$
不信頼度関数 \(F(t)\)、信頼度関数 \(R(t)\) を次で定義する。図1を見れば意味は明確。
$$
F(t)=\int_0^t f(x)\,dx \quad \text{:壊れた分} \tag{4}
$$
$$
R(t)=\int_t^\infty f(x)\,dx=1-F(t) \quad \text{:残っている分} \tag{5}
$$
また、\(F(t)\) は累積故障分布関数、累積故障率とも呼ばれる [3]。※3

2. 瞬間故障率
[1]P120-123 に従う。ある微小の時間 \(\Delta t\) の間に故障する平均故障率は、
$$
\frac{\int_t^{t+\Delta t} f(x)\,dx}{R(t)}
=
\frac{\int_t^{t+\Delta t} f(x)\,dx}{\int_t^\infty f(x)\,dx}
\simeq
\frac{f(t)\Delta t}{\int_t^\infty f(x)\,dx}
=
\frac{f(t)\Delta t}{R(t)}
\tag{6}
$$
となる。(注意:分母は時刻 \(t\) で残っている分。全体に対する率ではない。※4)これを \(\Delta t\) で割って単位時間当たりの故障率に直す。これを瞬間故障率と呼ぶ。※5
$$
\lambda(t)
=
\frac{\int_t^{t+\Delta t} f(x)\,dx}{R(t)}\bigg/\Delta t
\simeq
\frac{f(t)\Delta t}{\int_t^\infty f(x)\,dx}\bigg/\Delta t
=
\frac{f(t)}{\int_t^\infty f(x)\,dx}
=
\frac{f(t)}{R(t)}
\tag{7}
$$
$$
\lambda(t)
=
-\frac{\frac{d}{dt}\int_t^\infty f(x)\,dx}{\int_t^\infty f(x)\,dx}
=
-\frac{\frac{d}{dt}R(t)}{R(t)}
\tag{8}
$$
式(8)の変形では、微分積分学の基本定理を用いている。※6
3. 不信頼度関数 \(F(t)\) と瞬間故障率 \(\lambda(t)\) との関係
累積ハザード関数 \(H(t)\) は、瞬間故障率 \(\lambda(t)\) の時間 0 から \(t\) までの積分。※7
$$
H(t)=\int_0^t \lambda(x)\,dx
=
-\ln R(t)
=
-\ln \int_t^\infty f(x)\,dx
=
\ln R(t)^{-1}
\tag{9}
$$
$$
\Rightarrow
R(t)=\int_t^\infty f(x)\,dx
=
\exp\left\{-\int_0^t \lambda(x)\,dx\right\}
=
\exp\{-H(t)\}
\tag{10}
$$
すると式(4)は \(\lambda(t)\) を使って次のように書ける。
$$
F(t)=\int_0^t f(x)\,dx
=
1-R(t)
=
1-\exp\{-H(t)\}
\tag{11}
$$
また、式(7)を通分して、式(10)を使うと、
$$
f(t)
=
\lambda(t)R(t)
=
\lambda(t)\exp\left\{-\int_0^t \lambda(x)\,dx\right\}
\tag{12}
$$
故障率関数 \(\lambda(t)\) を次のようにパラメトライズする。\(m\) により \(\lambda\) が \(t\) についての増加減少の度合いが変わる。
$$
\lambda(t)
=
\frac{m}{\alpha}t^{m-1}
=
\frac{m}{\eta}\left(\frac{t}{\eta}\right)^{m-1},
\quad
t\geq 0
\quad
(0<m<\infty),
\quad
(\eta=\alpha^{1/m})
\tag{13}
$$
確率密度関数 \(f(t)\)、不信頼度関数 \(F(t)\)、信頼度関数 \(R(t)\) は、
$$
f(t)
=
\frac{m\cdot t^{m-1}}{\alpha}
\exp\left(-\frac{t^m}{\alpha}\right)
=
\frac{m}{\eta}
\left(\frac{t}{\eta}\right)^{m-1}
\exp\left\{-\left(\frac{t}{\eta}\right)^m\right\}
\tag{14}
$$
$$
F(t)
=
1-\exp\left(-\frac{t^m}{\alpha}\right)
=
1-\exp\left\{-\left(\frac{t}{\eta}\right)^m\right\}
\tag{15}
$$
$$
R(t)
=
\exp\left(-\frac{t^m}{\alpha}\right)
=
\exp\left\{-\left(\frac{t}{\eta}\right)^m\right\}
\tag{16}
$$
この \(f(t)\) の形がワイブル分布。\(m=1\) のとき、すなわち \(\lambda(t)=\lambda=1/\alpha\) となる時、\(f(t)\) は指数分布となる。
$$
f(t)=\lambda e^{-\lambda t}, \quad t\geq 0
\tag{17}
$$
\(m\):形状パラメータ、\(\eta\):尺度パラメータ。※8
また、\(t\) について平行移動するパラメータを \(\gamma\):位置パラメータとする。※9(\(t\to t-\gamma\) と置き換える。)
$$
\begin{aligned}
f(t)
&=
\frac{m\cdot (t-\gamma)^{m-1}}{\alpha}
\exp\left(-\frac{(t-\gamma)^m}{\alpha}\right) \\
&=
\frac{m}{\eta}
\left(\frac{t-\gamma}{\eta}\right)^{m-1}
\exp\left\{-\left(\frac{t-\gamma}{\eta}\right)^m\right\}
\end{aligned}
\tag{18}
$$
$$
F(t)
=
1-\exp\left(-\frac{(t-\gamma)^m}{\alpha}\right)
\tag{19}
$$
$$
F(t)
=
1-\exp\left\{-\left(\frac{t-\gamma}{\eta}\right)^m\right\}
\tag{20}
$$
$$
R(t)
=
\exp\left(-\frac{(t-\gamma)^m}{\alpha}\right)
=
\exp\left\{-\left(\frac{t-\gamma}{\eta}\right)^m\right\}
\tag{21}
$$
$$
\begin{aligned}
m &: \text{形状パラメータ},\\
\eta &: \text{尺度パラメータ},\\
\gamma &: \text{位置パラメータ}
\end{aligned}
\tag{22}
$$
\(\eta=1,\ \gamma=0\) に固定して、\(m=1\)(故障率一定)、\(m=0.5\)(故障率が時間に反比例している=減少する=初期故障の例)、\(m=2\)(故障率が時間に比例して増加する=摩耗故障の例)の例を示す。



- 注1:実験や進行中の不具合解析では \(R(t)\) はわからない(\(t\) が現在だとすると未来の情報なので)。\(F(t)\) を使って \(m,\gamma,\eta\) を求めて将来の \(R(t)\) を予測する。なので、普通の教科書には、\(R(t)\) ではなく \(F(t)\) の式を書いてあることが多い。
- 注2:一般的には、\(m\) は時間経過に対し一定ではなく、瞬間故障率は、時刻 \(t\) の最初の時期は初期故障を示し、それを超えるとしばらくはほぼ一定、その後、摩耗故障段階に入り増加することが多い。これはバスタブ曲線と呼ばれる。
4. ワイブル確率紙
[2]P108。ワイブル確率紙(ワイブルプロット)を使うと、パラメータ \(m,\eta,\gamma\) を求めることができる。つまり故障の分布がわかる。故障モードが変わらない仮定の下では、将来が予測できる。ただし、混合型(異なる摩耗モード、特に初期故障と摩耗故障、が混在する場合)や、複合型(時刻 \(t\) の発展によって故障モードが変わること)の場合、単純ではない。複合型の場合、時間を分けて解析すればよい。
残り P110 以降はワイブルプロットのやり方など。詳細は参考文献をご覧ください。
参考文献
- 真壁肇 鈴木和幸 益田昭彦 品質保証のための信頼性入門 (日科技連)
- 真壁肇 新版 信頼性工学入門 (日本規格協会)
- 静岡理工科大学 菅沼研究室ホームページ システムエンジニアの基礎知識 システムの信頼性
404 Not Found お探しのページ(URL)が見つかりません | 静岡理工科大学静岡理工科大学では、物の本質を追及する「理学」とその知見を基にモノを創造する「工学」を、体験や実践を通して学ぶ教育で自ら歩み続けられる学生の育成を目指しています。 - 二川 清(著),信頼性問題集編集委員会(著),信頼性技術叢書編集委員会(監修) 信頼性問題集(信頼性技術叢書) (日科技連出版社)
- 参考文献は私が知る文献の中で、その項目の説明が勧められるものである。文献が多くあるが特筆すべきものを知らない場合は、特に文献を挙げない。 ↩
- 意外にこう明示してある本を見つけられない。[1] では、いきなり PDF という言葉とともに \(f(t)\) が現れる(確率密度関数と言う言葉もない)。 ↩
- 累積故障率という言葉は、後に出てくる瞬間故障率 \(\lambda(t)\) の積分 \(\int_0^t \lambda(t)\,dt\) ではない!(累積ハザード関数の式(9)とその関連する脚注を参照。)私はここが混乱していた。でも現場には、こちら(\(\lambda(t)\) の積分)を累積故障率と呼んでいる人がいます。ご注意を。 ↩
- 私はここがわからなかった。 ↩
- \(F(t), R(t)\) の意味を解説する前に \(\lambda\) を定義する本が多くて、よくわからないのだと思う。[1] はこの定義が明確で理解できた。(ほかの本もちゃんと書いてあるんだろうけど、自分には分母がよくわからんかった。) ↩
- 最後から2つ目の等号は微分積分学の基本定理より。負号は \(t\) が積分区間の始めにあるから。 ↩
- 先にも書いたけど、これは累積故障率ではない! [4]P64 には以下のように書いてある。「累積ハザード関数 \(H(t)\) を、累積故障率関数と読んでも間違いとは言えないが一般には通用しない。」また、瞬間故障率を足し合わせるって物理的にはどういう意味かよくわからない。 ↩
- 形状パラメータの「形状」とは、時刻の発展に対する増加減少の形を表しているから。尺度パラメータの「尺度」とは、増加減少の速度の度合い(速いのかゆっくりなのか)を表しているから。 ↩
- 位置パラメータの「位置」とは、時刻軸に対するグラフの左右の位置を表しているから。 ↩


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